― 一人暮らし男子の暮らし、見直して気づいたこと ―
一人暮らしを始めたばかりの頃、僕は「とにかくモノを減らしたい」と思っていた。
SNSで“ミニマリストの部屋”を見て、シンプルでスッキリした空間に憧れた。
物が少ないほど掃除もしやすいし、心も軽くなるような気がした。
実際、最初の引っ越しのときは、できるだけ余計なモノを持ち込まなかった。
家具は必要最低限。ベッドとテーブル、椅子、小さめの棚。
調理器具もフライパンと鍋、まな板と包丁だけ。
服も仕事用と休日用で合わせて10着くらいに絞った。
「これで快適な生活ができるはずだ。」
そう思っていた。
でも、しばらく暮らしていくうちに、ある感覚に気づいた。
“あれ、なんか楽しくない。”
部屋は確かにスッキリしてる。
掃除もしやすい。モノを探す手間もない。
でも、何か物足りなさというか、“居心地の良さ”が感じられなかった。
今回は、そんな僕が実際にやってみてわかった
「物が少ない=快適」じゃなかった理由と、今のちょうどいい暮らし方
について話したい。
1. モノを減らすほど、“空っぽの気持ち”になる?
ミニマムな生活を始めて最初の1週間くらいは、正直とても気持ちよかった。
部屋がスッキリしていると、「自分、ちゃんとしてるな」と思えた。
「掃除しなきゃ」と感じるストレスも減った。
仕事から帰ってきたとき、視界がクリアだと、疲れも軽くなる気がした。
でも1ヶ月が過ぎた頃。
休みの日に一日中家にいると、なんとなく“無”な気持ちになった。
部屋には、白い壁、シンプルなテーブル、モノがない棚。
確かに“余白”はあるけど、そこに自分の“好き”や“居場所”が感じられなかった。
ソファもないから、床に座るかベッドに寝転ぶしかない。
飾りも置いてないから、視界に温かみがない。
便利さはあるのに、心があまり休まらなかった。
「快適」の定義って、“物が少ないこと”じゃなくて、
“自分が心地よいと感じる空間かどうか”だったのかもしれない。
そんなふうに考えるようになった。
2. 「何を減らすか」じゃなく、「何を残すか」が大事
そこで僕は、
“この部屋に何を置きたい?”
を自分に問い直してみた。
といっても一気にモノを増やすのではなく、
“必要だから”じゃなく“好きだから”置くモノを選びたいと思った。
まず迎え入れたのが、小さな観葉植物だった。
机の角にポトスを置いたら、それだけで空間に“呼吸”が生まれた気がした。
次に、以前旅先で買ったポストカードをフレームに入れて、壁に飾った。
毎日それを眺めるたび、「あのときの楽しかった気持ち」を思い出せた。
さらに、ずっと気になっていた間接照明も導入。
夜に天井の蛍光灯を消して、オレンジ色の光だけで過ごす時間ができた。
これが本当に気持ちよかった。
“ただ少なくする”のではなく、
“自分が心地いいと思えるもの”を残す。
それだけで、部屋の居心地がガラッと変わった。
3. “使いやすさ”と“楽しさ”のバランス
最初の頃は、“機能性重視”でモノを選んでいた。
便利ならOK、シンプルならOK。
でも暮らしてみると、便利なだけだと“味気ない”と感じることがあった。
例えばマグカップ。
無印の白いカップを使っていたけど、
あるときカフェで出会った渋い色のマグに惚れて、思い切って買った。
そのマグでコーヒーを飲む時間が、前よりちょっと楽しみになった。
お気に入りのブランケット。
ラグの手触り。
クッションの柔らかさ。
“使いやすさ”も大事だけど、
“触れて気持ちいい”とか“見て嬉しい”も、快適さの一部なんだなと実感した。
ただ「少なく、シンプル」だけだと、どこか無機質になりがち。
僕には、“暮らしの中のちょっとした楽しみ”が必要だった。
4. “減らす生活”に疲れたときのリセット法
一時期、もっとモノを減らしたくて“減らしゲーム”みたいになったことがあった。
「これも要らない」「あれも要らない」とどんどん手放した。
でも、“減らすこと自体が目的”になってしまうと、
暮らしの楽しみがどんどん削られていく気がした。
そこで、僕なりのリセット法を見つけた。
それは、
「週末だけ“好きなもの”に囲まれる日をつくる」こと。
お気に入りの本を積み上げて、
久しぶりにCDプレイヤーで好きな音楽を流し、
部屋にいい香りのディフューザーを置いてみる。
そんな“小さな祭り”みたいな空間を作ると、
自分の“好き”がリセットされて、
また“今の暮らしにちょうどいいバランス”が見えてくる。
減らすだけじゃなく、
“自分に必要なもの”を時々確認する時間があると、
無理なく暮らしを調整できる気がする。
5. “僕にとってのミニマム”は、減らしすぎない心地よさ
最初に憧れた“ミニマリストの部屋”は、
今でも素敵だと思う。
でも僕には、
「スッキリしすぎて何もない」部屋は、
少し寂しく感じることがわかった。
“物が少ない=快適”じゃなくて、
“自分にとってちょうどいい”が快適。
誰かの正解じゃなく、
自分の心地よさを基準にする。
それが、僕にとっての“ミニマム”だった。
必要最低限に絞ることよりも、
「これがあるとホッとする」と思えるものが、
ちゃんと部屋にあること。
そのバランスが見つかった今、
僕の部屋は「帰りたくなる場所」になった。
おわりに:少ないことより、“好き”があること
モノを減らすことは悪いことじゃない。
でも、減らすことだけを目的にすると、
“暮らし”の楽しさまで減ってしまうことがある。
僕がたどり着いたのは、
「必要なもの」と「好きなもの」のバランスをとること。
それはたぶん、
**“少なく持つ”というより、“ちょうどよく持つ”**という感覚。
部屋に“好き”があると、
一人の時間が、ちゃんと自分の味方になる。
そんな“心地よい余白”のある暮らしを、
これからも育てていけたらいいなと思っています。